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「ルックバック」(藤本たつき著)感想

「ルックバック」藤本たつき

期間限定読むなら今のうち。仲間と漫画とクリエイト。そんな身に覚えがある人間にはささるささる。

小4の主人公は学生新聞に毎回4コマ漫画を描いているが、先生に不登校の同級生にも枠を分けるよう頼まれる。その漫画の絵の上手さに主人公は努力して腕を上げるがそれでも圧倒され叶わないと筆を折る。しかし家を訪問した時に彼女に尊敬されていたと知る。バクマンよろしく漫画を二人で描く2人の交流の温かくほろ苦い物語。まさかの名作映画みたいないい話でびっくり。読み知り143ページという大ボリュームで背景が丁寧。
どんなルートでもクリエイターになる人はなる。苦さや別れあれど人が人と出会い影響し合うことの大切さ。パラレル、夢想、どちらにもとれる表現のうまさ。7/18の翌日公開の意味。言葉より絵の表現なので正解は読んだ人しれぞれで色々考えさせられる。
京アニ事件の他、オアシスの曲「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」でマンチェスター銃乱射事件『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でシャロンテート事を思わせる。テロや無差別事件など、人の獣的悪意は自然災害の如く突然降りかかり、しかし自然災害と違い、その日その時その場にその人がどうすればよかったのか自分がどうしてやればよかったのかという悲しみがある。
出会わなければと夢想した主人公が見た彼方から届いた4コマ漫画は実在したのか否か。出会ったことで過ごした時間、互いに与えた影響。彼女が前を向くきっかけもまた絵で見せる。
藤野、京本がどっちも作者の分身らしく名前を分割しているね。自伝的な意味合いもあるようね。元気で調子に乗る藤野と人見知りで素直な京本。二人とも机に向かい描き続ける。何度も出てくる机にずっと座っている姿が、創作とはそういうものだと示してる。
小ネタも色々。ファイヤパンチやチェンソーマンの背景もちょちょこ描かれる。
もし映像化するなら漫画が実写映画ぽいから実写にってなりそうだけど、逆に実写だと漫画そのまんまが正解なので付け加えるところ皆無な感じ。やはりやるならアニメがいいかな。本編の補完ならまだいいけど関係ないオリジナルが足される率は実写畑の方が多いのも怖い。実写は役者でイメージが確定してそこで好き嫌いが出てしまうのもある。名のある若手役者やアイドルで客は呼べるけど漫画好きには関係ない。それに、絵の話だからこそ絵の力を見たい。実写はどうしても映像の話になり絵はお飾りになる。「バクマン」は映画もよかったけど、絵よりやはり映像。「映像研には手を出すな」はもう完全にアニメより映像。でもアニメなら画質のクオリティや編集の工夫でいくらでもクオリティを上げられる。できればMAPPAで。