『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』
『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の3DCGアニメ映画化。物議を醸したメタネタはED後ではなくラストにがっつり絡む。でもそれを承知で見れば、絵は綺麗だしアクションもいい。総監督・脚本山崎貴。ハクみたいな王子の出る初めのエピソードが腕白かわいい。オチはドラクエというより、この映画を解体したという感。この手のメタネタは邦画洋画とも多い。アニメにはもっと多い。現実が虚構というテーマはプロダクションIGの得意ジャンルだし。押井守という感じ。オリジナルなら問題なかったけど、ドラクエだから目立ったというか。娘はラストを見て「ダンガンロンパ3」だねと。
楽屋落ちは視聴者が没入していた世界を否定してしまうので、必ず賛否両論が起こる。でも残念なゲーム原作映画化だと、初めからその域にも達しない。賛否はそこまでがとても良かったという裏返し。オチだけが全てではない。メインの声優も俳優だけどなかなか良かった。監督はゲームの映画化に難色を示したけどあのオチを思いついたから話を受けたそう。メタオチは監督の中で不可欠で決して削られないものだった。ならば作中に初めから沢山細かく違和感を散りばめておけばよかったかも。視聴者に没入を妨げるフックをつけておいて、ファンタジーではなく謎解きジャンルとしていたなら、最後に謎が解かれればスッキリしたかもな。と思ったり。昨今の作品が初めからゲームしてる設定としたり異世界転生物にしてるのでメタネタ自体は問題ない。出し方がどうかということね。
「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」は親子三代の話と聞いて、「ガンダムAGE」の下敷きだったんだなと今更かもだけど、初めて気づいたし。日野さんがゲーム側だからこそ出てくる発想。長さがあるからガンダム的闘争というか、局地的戦争の人間ドラマに架空の歴史物の側面がプラスされる。ただ、三代と長いだけに駆け足ではあったけども。
「きみと、波にのれたら」
サーファー主人公は消防士の青年と恋愛するが彼は事故で死亡。しかし水の中に彼女にしか見えない彼が出現する。最初は少女漫画的だが、クライマックスの超常現象によるビル火災消化のアクションはさすが。ビルの外を包みこみ消化しながら登る巨大な水玉、その水玉の上をビルの上からサーフィンして降りるエピソードはダイナミック。監督湯浅政明、脚本吉田玲子。
「ジーニアス・パーティ」監督ごとの短編集。STUDIO 4℃制作。監督は福島敦子、河森正治、木村真二、福山庸治、二村秀樹、湯浅政明、渡辺信一郎。実験アニメテイスト。湯浅政明監督の「夢みるキカイ」は赤ちゃんが無人の星で1人成長する話で人生譚。
「ジーニアス・パーティ・ビヨンド」監督は前田真宏、中澤一登、大平晋也、田中達之、森本晃司。森本晃司監督の「次元爆弾」は漠然としたイメージの積み重ね。話はよくわからないのに綺麗で目が離せない。
映画化「犬王」
楽しみ。原作も読みたいところ。原作古川日出男「平家物語 犬王の巻」、監督湯浅政明、脚本野木亜紀子、キャラクター原案松本大洋、メインアニメーター松本憲生。