BLUE HUMAN

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「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」9巻感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」9巻
アニメでは6話〜10話Aパート。崩壊寸前の空虚な奉仕部。気遣いは諸刃の剣に。いろはの生徒会の依頼を比企谷1人でこっそり受けるが会議は踊り袋小路に。雪ノ下が生徒会長を望んでたと由比ヶ浜も勘付いてたが2人とも雪ノ下を気遣いつつ彼女のためにどうすべきかの考えが違う。葉山の微笑の後の苛立ちの表情は同じく雪ノ下の微笑の下にある表情が同質ではないかと思わせる。己が力の及ばないことを知った無力感。だが比企谷が大切な人々と自分の欲求を認識し当人達にその感情を懸命に吐露する。互いに本当にわかりあいたいと欲し安心したい欲求。集団維持の難しさに葉山達に感化されたりしたが。互いに踏み込まない薄氷の上の関係は自分の求める本物ではない。比企谷に感化された一色の葉山への告白は戸部にありえたもう一つの結末。葉山の言う「頼られたら断わらないからな君は」は比企谷の思う手助けしたつもりで苦しめていた、助けがないと立てない人を生んだ、に続くのかと。気遣いは諸刃。劣等感や罪悪感を持つ相手の側には居づらい。その元となる出来事を思い出していたたまれないその心理と。だが大切な人達とは言いたいことを我慢せず安心して付き合いたいと望む感情。比企谷は今までの行動で変えてしまった人々の結果の責任を償いを考える。本調子になった比企谷だが葉山とは前巻から拗れたままさらに拗れ。さらに今回の行動で次巻で葉山の件を引き起こすわけだが。毎度前巻の綻びを次巻で繕う感。
さて葉山は前巻ダブルデートで比企谷との関係に修復はならず傷つけてしまいもっと拗れたまま。今回らしくなく葉山がいろはを手伝わないのは比企谷を頼ったから。でなければいろはを手助けしたかも。葉山は比企谷が失敗することを望んでいるかと。ずっと比企谷が彼の方法で解決に成功している限り比企谷は変わらない。自分を傷つけ和を乱すやり方を肯定出来ない。なのに周りの皆はおろか葉山自身も彼を頼りにしてしまい否定したくても否定できない。彼の価値を認めているし傷ついて欲しくないのに失敗を望んでしまう。ライバルらしい矛盾した真理。また、皆仲良しを第一として他を切り捨ててきた葉山は比企谷のせいで皆仲良しが本当に皆の幸せなのか守るべきものなのか迷いが生まれ価値観が揺らいでいる。自分が支えて幸せにしてるなんて思い上がりかと。皆仲良しは本当に正しいのかと。違うなら自分は何を基盤にすればいいのか。比企谷が解決して皆に与えた変化が眩しく見えるのも苛立つ。戸塚が比企谷をかっこいいと言ったように君を褒めるのは僕のためだと葉山は言う。戸塚は本心だが葉山は違う。そう持ち上げてしまえば楽になると思って言ったことで。しかし当の比企谷は葉山が揺らいでいるとは思っていない。彼が変化したのではなく元々あって見えてきた面だと見ている。どっちもあるだろうけど。己のグループ第一のやり方を集団の停滞を維持する努力を認め始めているくらい。実際は辛辣で皮肉な面もあるのに皆には隠し、期待される優等生を維持する葉山を自己犠牲だと解釈してる感もあるくらい。比企谷は戸塚や材木座や川崎、そして今回は由比ヶ浜や雪ノ下に助けを求める。困っている比企谷を見ることで雪ノ下も無力感から解放される。助けを求められることで関係が深まる。比企谷は本来の毒舌を取り戻し雪ノ下は一緒に矢面に立つ。共に傷を負う戦友的な。いろはは告白の前に葉山に自分の見た光景を話したかも知れない。奉仕部に晒した感情を吐露する比企谷の姿は葉山の最も見たいものであるかと。おそらく葉山も比企谷からのそれを必要としている。しかし比企谷は葉山との関係にそれを必要と思わず互いに張り合う関係だと見ている。葉山の方は既に比企谷に弱みを見せているのに。平塚先生の言う「大切だから傷つけたくない、誰かを大切に思うことは傷つける覚悟をすること」は比企谷の心を解いたものだが、葉山が主義を曲げたダブルデートで比企谷にしたのは実はそれだったかなとも。傷つけたくなく大切に思うのに結果傷つけた。ただ、比企谷の場合は由比ヶ浜のフォローのおかげで相手に通じたけれど、葉山のそれは比企谷に通じなかった感。思いが通じなかった場合の例が先に葉山で示されていたかも。比企谷もなり得た哀しい気持ちと歪みが今回のグレ葉山なのかなと。
だから10巻マラソン大会で比企谷が葉山のために希望に沿った効率のいい選択を示しても以上それを選ぶわけにはいかないわけで。比企谷を失敗させたい。かれに土をつけたい。勝負に勝つことが自分の進路より先にきた。選択として意地でしかないまさに自己満足。皆仲良しも自分のためで人のためではない自己満足なのだと認めざるを得ない。ただ自分のためにモラトリアムを選択する。何も選択しないというのは対人の付き合い方のことに見えるけど、もしかして以後の展開で違うかも。だがマラソン大会で葉山は比企谷と対等でいたい望みを認めたと。比企谷と対等でありたいために逆の道をいくと。戸塚の言った比企谷かっこいいねはここで比企谷が葉山かっこいいと言うのにダブるのかも。比企谷と関わりたいと願うのは葉山には辛い。傷つく彼を見るのも自分の根幹を揺るがされるのも。クラスが変われば彼を目に入れなければ楽になる。欲求を目を閉じてしまえばいい。だが逃げる道を選ばない。葉山は対等でいたいと言い比企谷と関わり続けることを望んだとも。