「消える」木原音瀬。2016年12月小説現代掲載。
前半は死んだ兄の手紙による弟への執着の告白。後半は兄の手紙を見た男が弟の喫茶店に訪問。長い話のプロローグとエピローグという感じ。兄は車の事故で足が動かなくなり、弟を罵倒し関係を強制し浜辺で凍死という、間に入る兄弟の愛憎劇が読みたいなと思うような。こういう拗れた関係の濃い描写が著者の得意なところだし。年下攻めが多い著者だから、弟が攻めで関係に慣れて密かに情も移ってきたのに兄は弟を残し死んだという感じになるかな。掲載分ではただ恨みしかないように見えないのが惜しい。