BLUE HUMAN

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「少年のアビス」「可愛そうにね、元気くん」「ヨリシロトランク」「王妃マルゴ」

「少年のアビス」
峰浪りょう著。町に縛られ死を望む少年がコンビニの女性と関係してから、幼馴染や先生どの周囲の関係が変化してゆく。家族や幼馴染に縛られた美少年の話。周囲の人々の深淵が見えてくるミステリも面白いけれど、中でも幼馴染少年が面白い。主人公をパシリにし、卒業後も自分の家の会社に入れようと縛る。2巻では「あいつは俺のなんだわ」と言い、コンビニ女性は「なんだ、愛されてるじゃない」と呟く。少年時代のトンボの交尾の回想。風呂上がりの主人公の裸体を見つめ、死のうとしたことにそんなに俺から逃げたいのかと怒り、意味深なことを言う。この幼馴染の執着がかっちゃんっぽくて、彼が今後どう出るのかとても気になるところ。まあメインは女性陣だろうけれども。

「可愛そうにね、元気くん」
古宮海著。好きな子を虐待する漫画で性癖を発散していた少年を巡る2人の同級生。好きな子もMで暴力を要求されて辛さで、自分がMだと自覚し、Sの彼女に縋り虐められて堕ちる。姉に女装させられ暴力を受けたトラウマが性癖の起点。SとMのどん詰まり。
心の思いと身体の欲求のどちらを取るのか。両方を一致させられるのか。息が詰まりそうな思春期物らしくて面白い。

青年漫画らしい悶々としたリビドーにシリアスな方向から切り込んだ作品2作。コメディ方面から行くと「みんな、エスパーだよ」みたくなるが、まじめに行くとこうなるという。

「ヨリシロトランク」
鬼頭莫宏原作/ カエデミノル絵。殺人事件の加害者を殺せば被害者が蘇る世界になった。突然法則が変わった世界の新たな秩序とさまざまな人々の話。捻ってて面白い。雰囲気もコマ割りの感じもとても鬼頭莫宏ぽい。「冷たい方程式」のパロディも良かった。コミックDAYS連載中

王妃マルゴ
全8巻。萩尾望都著。初の歴史長編物。3人のアンリがそれぞれ彼女の恋人・妻・敵となると予言されたマルゴの生涯。マルゴの人生で追う16世紀フランスでのプロテスタントカトリックの戦いというか。華やかな画面ですごい勢いで話が進む。悲劇なのに明るい感。我が子も親戚も道具にして奸計をめぐらせる母后カトリーヌ・ド・メディチが凄まじくも面白い。母后と対比的に流されるマルゴは大きな存在に翻弄されながらも純愛に奔放にと本能に生きるへこたれないタフな女。彼女にとっては男性たちはいくつになってもそれぞれ恋人・敵・夫。でも男性陣にとっては違うかな。彼らは若いころはマルゴに純愛していたけれど、年月が経ち別の女に恋すると、彼女の存在はもう過去の女という感じ。

メイドインアビス
9巻新刊読む前にもう一度8巻読んだらボロ泣き。過去話の絶望的な探検隊の旅。残酷な状況だからこそ美しいもの、悲しいものが鮮烈。家族に見放された少女の真の望み。モーセの如き探検隊を率いる隊長。高潔ゆえに苦しむ隊員。村が例えるものも色々考えさせられる

無限の住人
アニメ放映したので、13巻まで買ってたのであえて昔の版で最後まで買いました。新装版も気になるけれど。やはりおもしろい!